不動産広告で物件情報のなかに小さく「セットバック」や「SB」の文言を見かけたことがある人もいるのではないでしょうか?
文字が小さすぎて見逃しそうになるかもしれませんが、購入する前には予備知識として「どのような物件か」について知っておいた方が良さそうです。
◆昔と今の道路の考え方
建築基準法では、住宅を建てられる条件として「幅員4mの道路に接すること」と定められています。ただ、昔の道路は、今のように車の交通量もなかったことから、幅員4mに満たないものも多いですね。
しかし、今の時代に合わせれば幅の狭い道路はかなり不便ですよね。一番の問題になるのが消防車などの大型の緊急車両が通れないこと。そこで、4m未満の道路に接している土地は「後退すること」を条件として、新築や建て替えが認められています。
◆セットバックはどのくらいするもの?
セットバックする部分は、その立地状況によって変わります。
- ◎道路の中心線を基準にセットバックする
- ◎対面側に土地がなければ…?
「道路が3mしかない」というケースなら、建て替え時にセットバックが必要です。
「1mも使えない分があるの?」となんだか損をしたように思うかもしれません。しかし、道路に面しているのは、自分側の土地だけではなく、対面側にも土地があるケースが多いでしょう。そのため、道路の中心線からお互いの土地がそれぞれ下がることで4mの道路になるというわけです。
例えば、現況で幅員3mの道路なら、【幅員3m道路+自分の土地50cm後退+対面側の土地50cm後退】で4mの道路となりますね。
ただ、注意したいのは、対面側に土地がないときです。
川や崖地などで対面側に何もなければ、【幅員3m道路+自分の土地1m後退】をすることになります。
◆セットバックありの土地を購入すると…
セットバックした部分は、自分の土地でありながら自由に使えません。建物、ブロック塀、門さえも作ることはNGです。しかし、「道路」のために寄付する部分なので、基本的には固定資産税の課税面積には加わりません。
ただ、気をつけたいのはセットバックして建て替えしたからと自動で非課税になるわけではないということ。市町村に対して「道路にしたので非課税にして欲しい」という申告を忘れないようにしましょう。
◆将来的にはプラスと考えられる?
「建て替えのときにはセットバックして」という土地。つまり、既存の住宅を壊さない限り、セットバックすることはないでしょう。そのため、道路に面する住宅が多数並んでいると、「建て替え後の土地は後退済み」「建て替えしていない土地はそのままの状態」と、敷地に部分的な凹凸が見られるでしょう。
ただ、周辺が建て替えによりすべてがセットバックされれば、4mの道路に接しているという基準を満たしている土地と同じ価値となるかもしれませんね。
◆まとめ
チラシやインターネット広告で住まい探しをしていると、価格や立地、間取りなどに注目しがち。セットバックしなければならない土地は、周辺相場よりも安く「オトク」に感じられるでしょう。ただ、今後の建て替え時に面積が減ることを理解しておく必要があります。
細かい字で書かれている情報も見逃さないようにするとともに、不動産会社にしっかり説明を受けて納得してから購入するようにしましょう。