借地権のある土地にマイホームを建てた後には、契約で定められた地代を地主に支払い続けることになります。しかし、地主が変わったときはどうすればいいのでしょうか。
「契約が白紙に戻されるのでは?」「地代が値上がりしたらどうなるの?」と不安になるものですよね
◆ケース1.地主が死亡したらどうなる?
地主が亡くなると、土地の所有権は相続人である新しい地主に引き継がれます。
◎契約内容は消滅しない
新しい地主になっても、それまでの借地契約は無効にならず、そのままの状態で継続していきます。契約期間がリセットされることもなく、「地主が変わった」という変化のみと考えましょう。
◎地代の支払い先を確認する
地主が亡くなったときに確認すべきことは、その支払い先です。
毎月の地代を地主に直接渡していたケースは「今後は誰に渡すか」、銀行口座に支払っていたケースは亡くなった人の口座に振り込みすることはできないので「誰名義の口座に振り込むか」などをすぐにでも確認した方がいいでしょう。
「誰に支払えばいいか分からなかった」「連絡がこないから」と地代の支払いを放置するのはよくありません。「地代の未払い」を理由に契約が解除されることもあるので注意しましょう。
「相続人は誰か」「地代の支払い方はどうするべきか」を早めに確認することが大事です。
◆ケース2.第三者に売却されてしまった…!
借地人の知らないところで、地主が第三者に土地を売却することがあります。借地人の承諾などは不要なので、いきなり新しい地主の変化に戸惑うこともあるかもしれません。
◎新しい地主へ地代を支払うこと
新しい地主になっても以前の契約内容は生きています。地主が亡くなったときと同様に、「新しい地主さんになった」ということ。契約内容はそのまま引き継がれるので、新しい地主へ地代の支払いを続けていく必要があります。
◎「立ち退いて」という要求には応じなくてもいい
借地人が建物を登記していれば、新しい地主に「借地権があるので!」と対抗することが可能です。土地の返還を要求されても、登記済の建物であれば権利を主張しましょう。
また、新しい地主が地代の受け取りを受け取らないなど困った状況になるケースもあります。「地代の未払いが続くと契約解除ができる」という理由を狙った新しい地主が、計画的にそうしていることも…。
この場合、「地代を払おうとしているのに地主が受け取らない」という内容の「供託」ができます。これにより、賃料を支払っていると同じ意味と考えられ、借地権は主張できるのです。
◎地代を値上げされても応じなくてもOK
新しい地主が「地代をアップしたい」と値上げを要求してくるかもしれません。これについても、前述のとおり、建物登記によって旧契約の内容を主張できます。新地主が一方的に決めた地代値上げに応じる必要はありません。
地代の値上げを拒否した場合、地主さんは地代の受け取りを拒否するケースも出てきます。そうした場合も同様に地代の供託を行わないと、借地権の解除につながるので注意が必要です。
◆まとめ
死亡や売却などにより「地主」が変わると焦るかもしれませんが、基本的に借地権の契約内容は継続できます。ただ、「誰に払えばいいか分からない」と地代を未納のままにすると、それを理由に借地権を失いかけるかもしれません。
「地代を払う=借地権が続く」とも言えるので、早急に新しい地主と支払い方法などの確認をすることをおすすめします。